HOME » トピックス » 音響トモグラフィを用いた高精度地盤調査-地盤の可視化技術-

音響トモグラフィはJFEシビル株式会社が有する独自の技術で、GRIは、JFEシビ
ル株式会社と技術提携を結び、地盤調査分野への積極的な活用を行っています。

調査方法 現地計測 基本原理 特  徴
適用事例 注意事項 業務実績 ダウンロード

このような問題に直面したときあなたはどうしますか?

  • 地層の連続性はどうなっているの?
  • この地層は均一なの?
  • 地中に障害物や空洞はあるの?

調査方法

従来の方法

調査ボーリング

  • ボーリング本数を増やせば、調査地点の情報は得ることはできるが、いくら本数を増やしても、ボーリングは点の情報であり、ボーリングをやっていない場所の情報はあくまでも推定でしかない。

物理探査

  • 地表から実施する物理探査(表面波探査、高密度電気探査、弾性波探査、地震探査)では、深度に関係なく1mの精度は確保できない。

トモグラフィ探査

  • 物理量として弾性波や電流を用いたトモグラフィ探査で、1mの精度を確保しようとすれば、探査距離は10m以下としなければならない。

音響トモグラフィ探査

  • 音響トモグラフィ探査は、設計に必要な精度(約1m)と現場で必要な計測距離(最大100m)を同時に満たすことができる。
  • 調査結果として得られる「速度分布」「減衰率分布」の2つの情報から、地盤の固さや地層構造、ならびに地層内の不均質性や地中障害物・空洞等の有無、を判別することができる。

現地計測

計測方法

測定機器と計測状況


音響トモグラフィ探査の基本原理

音響トモグラフィの特徴は、物理量として音響波(擬似ランダム波)を用いること。

擬似ランダム波を用いることで、
 ① 従来手法より精度が高く、かつ広範囲の
 ② 弾性波速度だけでなく振幅減衰を計測できる
 ③ 周囲のノイズの影響を受けにくい

探査が可能となった。

擬似ランダム波の特徴

  • パルス圧縮と呼ばれる信号増幅方法で、特定の長さを持つ連続波であること
  • 単一周波数の正弦波をベースとして位相変換されること
  • 発振波と受信波の相関関数が周波数に依存した波長のパルス波になること

擬似ランダム波


データ解析

2つの情報から分かること


特徴・従来の手法との違い

周波数と測定範囲

各手法の精度と測定範囲の違い


計測分解能が高い=ものさしの目盛りが細かい

減衰情報の利用=地盤内物性変化を把握


音響トモグラフィは騒音より高い周波数を使用

地表ノイズの影響を受けないので、道路沿いでも昼間計測が可能

幹線道路横断方向の探査

適用事例

調査目的:地層線の連続性および地層の非均質性を評価


結果の評価

  • 速度分布からは地層構成、減衰率分布からは同じ地層内でも粒径の分布状況の違いを判別することができた。
  • 砂・砂礫層、固結シルト層、砂礫層に該当する速度値によって、それぞれの地層を明確に区別できた。
  • 速度分布図から推定される地層線は、直線分布ではなく不陸があることが判明した。
  • 減衰率分布からは、同じ地層であっても非均質な状態にあることが判明した。

適用に当たっての注意事項

【現場条件】

  1. 対象とする地盤は地下水位以深(飽和した地盤)
  2. 探査断面の縦横比は1:2以下
  3. 測線長は100m以下
  4. 発振器および受信器を結ぶ信号線は有線ケーブルを使用しているため、占有地外で道路や線路、私有地を横断する際には迂回もしくは養生が必要
  5. 探査孔はφ50mm以上の塩ビ管(有孔管、無孔管)で孔壁を保護
  6. 塩ビ管内は清水もしくは泥水で充填
  7. 地下鉄や地下工事付近での探査は、騒音の発生しない時間帯で実施
  8. 探査測線周辺に鋼製の構造物等がある場合は、2m程度の離隔が必要

【結果の解釈】

  1. 地層と音波の伝播特性との関係は場所によって異なることがあるため、解析結果はボーリング柱状図等によるキャリブレーションが必要
  2. 探査断面の上下面を横断する杭のような垂直な構造物や高角度の断層は判別が困難

GRIの業務実績

年度 場所 探査目的 探査断面規模
R01 愛知県 地盤改良工に関わる遮水層の連続性確認 4断面:縦34m×横14.4m, 24.0m, 34.6m, 99.8m
H31 シンガポール 既設トンネルとの交差部における岩盤線の連続性確認 6断面:縦40m×横49.4m, 50.7m, 45.4m, 42.8m, 72.3m, 59.7m
H31 愛知県 施工中の立坑における底盤以深の地層(粘性土層と砂質土層の互層)の連続性確認 6断面:縦36m×横23.9m, 32.7m, 32.7m, 24.7m, 21.2m, 22.7m
H30 愛知県 既設管周辺の埋土の緩み領域や状態の特定 1断面:縦15m×横6.5m
H27 愛知県 想定地質縦断図において急変が予想されるPc4層の連続性確認 1断面:縦45m×横50m
H26 大阪府 薬液注入効果の評価 1断面:縦20m×横30m
H26 東京都 シールド掘削断面における埋戻層(岩ズリ)の分布状況を確認 6断面:縦18m~23m×横18.57m~24.13m
H25 大分県 15年前に実施された杭基礎補強のための地盤改良効果の残存効果確認 2断面:縦11.5m×横7m, 9m
H25 大阪府 薬液注入効果の評価 1断面:縦20m×横30m
H25 京都府 鋼管矢板工法の根入れ深さの確定 4断面:縦24m~30m×横20m~24m
H24 兵庫県 土留め壁の根入れ深さを確定するため,地盤の不透水層の評価 3断面:縦25m×横60m, 60m, 70m
H24 神奈川県 拡幅工事における地盤改良効果の確認 2断面:縦7m, 12m×横12m
H24 大阪府 遮水層根入れ先端付近の地盤構成の面的把握 8断面:縦48m×横21m~72m
H23 大阪府 遮水層形成のための薬液注入による効果確認 1断面:縦50m×横57m
H22 千葉県 シールド施工(URAP工法)に先立つ支障物調査 3断面:縦7m×横5m~10m
H21 東京都 薬液注入効果の確認 1断面:縦20m×横10m
4断面:縦6m~11m×横19m~28m
H20 長野県 場所打ち杭の施工に伴う周辺地盤の緩み領域および強度低下の度合いを確認 2断面:縦15m×横7m, 8.5m
H20 滋賀県 薬液注入工による地盤改良効果の確認 2断面:縦8m×横9m
H19 兵庫県 トンネル施工における設計・計画を効率的に行うための詳細な地盤構造の把握 1断面:縦38m×横80m

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